たまにバイクに乗らずに出かけたらこれだ。
土曜日に酒を飲みに出かけた。
飲酒するためもちろん電車だ。
19時半くらいから飲み始めて、22時くらいに帰った。
改札にICカードをタッチして通り抜け、残額が少ないことに気づいたが、電車の時間が迫っていたので一旦電車に乗り、最寄り駅に着いてから積み増しすればいいと考えていた。
23時。最寄り駅に着いた。
清算機のところまで行き、カードに積み増ししようと考えた。
と、大変なことに気づいた。
財布がない。
慌てて一緒に飲んでいた友達に電話をかけた。
「お~~~~どうした~~~~」
だいぶ酔っている。
「そっちに俺の財布ないか!?」
「ん……?ギャハハハハハ!あるよ」
よかった。ひとまずよかった。
だが状況は最悪だ。
取りに戻ったら終電は終わってしまう。
「頼む…持ってきてくれないか?」
「なんで?やだよ」
さっきまでの上機嫌な酔っ払いのような感じはどこへやら、ひどく冷淡な声で返された。
「残高が足りなくて改札抜けられないんだよ…」
「財布落としたって素直に言えば?」
「それしかないか……」
ひとまず友人に財布を持っててもらうことにして、翌日改札内で落合い、財布を返してもらうことにした。
「すみません……お財布をなくしてしまったんですが……」
駅員さんはどこで落としたか見当がつくか、電車内で落としたのであればここに電話してほしいということ、お代は後日で構わないということを言ってくれた……。
これが人のぬくもりか……。と思った。
駅員さんに感謝しながら家路を急いだ。
だいたいいつも買い食いをしてしまうのだけど、財布がなくてそれもできない。
家に着いた僕は絶望した。
鍵は財布に入っていた。
けっきょく翌日友人が来るまで公園で過ごした。そんなに寒くなくてよかった。
前に一回だけ鍵開け屋にお世話になったことがあったのを思い出した。
結局、こういうサービスだってお金がなくては使えない。
お金の大切さというものを強く強く感じた夜だった。
結局財布を預けてた友達は昼の12時過ぎにだいぶ遅れてやってきた。
ぶっとばすぞ……。